前述の通り、私たちの使用するハンドベルはイングリッシュハンドベルです。その起源は17世紀後半〜18世紀初頭のイギリスにさかのぼります。このように、一定の規則に従って鳴らしていき、最終的に元の順番に戻るのが、「チェンジリンギング」です。
時計がまだ高級品だった当時、人々にとって教会等に備え付けられている鐘(一番有名なのはビックベンでしょう、教会ではありませんが…)の音は、時を知るために非常に重要でした。
あの鐘、一見適当に鳴らしているように見えますが、実は一定の規則(チェンジリンギングといいます)に基づいて鳴らしてるのです。
簡単に説明すると…
例えば、「ド・レ・ミ」の3音のベルがあったとします。このベルを順番に鳴らす組み合わせは6通りあるのですが、これを一定の規則(ここでは、前の順番で最後に鳴らしたベルを、次の順番では最初に鳴らす事とします)に従って鳴らしていくと…
1巡目 ド・レ・ミ …と、4巡目で元に戻ります。
↓
2巡目 ミ・ド・レ
↓
3巡目 レ・ミ・ド
↓
4巡目 ド・レ・ミ
ビックベン
とはいっても、何事もぶっつけ本番では上手くいくはずがなく、きちんと鳴らすためにはそれなりに修練を積む必要がありました。しかし、練習の度に町中に鐘の音を響かせていたのでは、街の人たちから見れば、迷惑極まりない行為です。今で言えば、試験放送ばかりで正確な時間を教えてくれない117番、といったところでしょうか?(←違う)。
そこで誕生したのが、手に持てるサイズの鐘に持ち手をつけた練習用の鐘、ハンドベルでした。初期の頃は本当にチェンジリンギングの練習に使われていたようですが、それが教会のミサなどで演奏されるようになり、次第に教会の外でも演奏されるようになりました。
「楽器」としてのハンドベルは、18世紀中頃にイギリスのホワイトチャペル社によって初めて作られました。しかし、本格的に「楽器」として発展していったのは、ハンドベルがアメリカに渡ってからのようです。現在のハンドベル2大メーカー、シューマリック社とマルマーク社はそれぞれ1935年、1973年に設立されました。ハンドベルって、実はとても新しい楽器なんですね。(ちなみに、私たちはマルマーク社製のベルを使用しています)